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生田村の30年後と、その先を見つめて~田村伊久男さんインタビュー~

棚田の原風景が広がる、淡路の奥座敷、生田村。
淡路島の北側中央の山間部に位置し、昔ながらの棚田の風景を残す生田村地域では、地域活性化の一環として若い世代の移住を支援するとりくみをしています。
生田地域活性協議会事務局長 田村伊久男さんにお話を伺いました。

 

うまい蕎麦をゼロから提供。 「そばカフェ生田村」は 地域の人たちの“自分の店”。

 

 

淡路市生田地区の地域経営の店「そばカフェ生田村」は、ソバの実の栽培からそば打ち、接客、イベントまで、できる限り全戸参加を呼びかけて運営しています。地域の活動は無償になりがちですが、ここはタダ働きではなく一人ひとりに賃金をお支払いしています。おかげさまでそばカフェの経営は右肩上がりで、満10周年を迎えた2020年には、初のボーナスを出すことができました!みんな「自分の店」という自覚とやりがいを持ってくれていると感じます。

 

 

そばカフェをはじめとした様々な地域活性の資金の一部は、農水関係の補助金から使用しています。本来は、水利組合の各農家に分配されるはずだったお金を地域のために使うので、みんな腹を割って話し合いながら進めてきました。
かつて「何もできない村」と言われた生田村ですが、自分たちの力で活性化に取り組み、より地域の自信につなげていきたいと思っています。

 

地域活性に奮闘するも、10年で100人減。 その事実に抵抗する。

そばカフェ始動から10年走り続けてきましたが、開業当時、約480人いた人口が今では100人も減っていることがわかりました。未就学児はたった一人。危機感が身に染みました。 この事実を「生田村かわら版」で全戸に知らせ、地域の未来を語るワークショップを呼びかけたのです。「若い人もこんなに」と驚くほどの集結ぶりで、60人もの老若住民が堂々と意見を発表してくれました。あの光景は、一生心に残るでしょうね。
みんなと未来のイメージを共有するための「生田村人口ビジョン」では、現在370人の人口が30年後330人を割らないことを目指しています。自分たちが立ち上がらなければ村は廃れるのみ。限界集落ではなく、人口減に抗う「抵抗集落」でありたい。本気で活動を続けて、30年後の生田村を私は見届けたいのです。
移住者受け入れの指標は年間1組。近年は超過達成し、嬉しいことに子育て世代の家族が増えてきました。生田村は、北淡ICまで車で5分、神戸方面の高速バスは日に80往復と島最多です。通勤・通学の選択肢も意外とあるんですよ。交通の便の良い里山だと、若い方々にぜひ知って欲しいですね。

 

 

年間3万人の来村者が 移住受け入れの「心」を変えた。

移住してきた人にも、月1回以上そばカフェで働いてもらっています。これはバイトというより顔と名前をお互いに知るため。働きながら自然と新旧住民のコミュニケーションが生まれています。
小さな集落ですが、生田村の人には移住者を「よそ者」と考える心はあまり見られません。それは、そばカフェ、そば花まつり、水車が目を引くホタルカフェ、個人営業の古民家カフェ淡(あわ)、観光農園だんだんファームなどで年間3万人もの方々をお迎えし、十数年かけて見ず知らずの人と親しんできた結果なのかもしれません。先日実施したアンケートでも、実に9割もの人が移住者に歓迎の意思表示をしています。
生田村に興味をお持ちの方々へ。
地域のみんなはウェルカムです!まずは一度、棚田の原風景と澄んだ空気、ゼロから手作りする蕎麦を味わいにきてください。

この記事を書いた人
ウエダシホ(コピー・デザイン・イラスト)

楽しくておもしろい発見、ワイワイ!!
あちこち夫と散歩して淡路島のいいところを探しています。
2017年に淡路島にやってきました。
「やさしく、わかりやすく、うつくしく」を心がけ、
コピー・デザイン・イラストで
誰かの声や想いを伝えるお仕事をしています。
ライフワークは工作料理(梅しごと・味噌・ジャムなど…)
職人技やプロダクトデザインが光るアイテムにも興味あり。