
2025.11.12 暮らし
10月18日、地域の田主(たず)の皆さんと移住者・移住希望者が集まり、「未来をつなぐ~いただきますの裏側体験~」を開催しました。
島くらし淡路ではこれまでも、米作りの継承を目的として、田主の皆さんと一緒に水路清掃や田植え、草刈り、稲刈りといった作業を通じて、米作りの一年間を学ばせていただいています。そもそも、米作りが水路清掃から始まっていることすら知らなかった私たちにとって、貴重な学びの機会となっています。
今回は、そこで収穫できたお米を羽釜で炊いていただこう!そして、移住者や移住をしたい方、お米作りに興味のある方に来ていただいて、米作りの現状を知ったり、未来のことを考えてみたり、交流を深める場として企画しました。
水路を守る!宮池オールスターズのみなさんと参加者の方々の想い
イベントは、地域の宮池田主の皆さまのご紹介からスタートしました。
田主とは、稲作に欠かせない「水」を管理し、守っている組織のこと。今回は特に熱心に取り組んでおられる皆さまを、親しみを込めて「宮池オールスターズ」としてご紹介しました。田主の皆さんは、米作り歴が10年を超えていても「まだまだ素人だ」と謙遜されつつも、現状抱えている課題についてもお話くださいました。
「昔に比べたら、米作りをする田んぼは1/3くらいに減ってしまっていて、上は竹藪になりつつある。後継者がいなかったら、この美しい景色も米作りもできなくなるので、なんとか持続していきたいと思っている」
切実な想いに続き、参加者のみなさんも自己紹介。移住を考えている方、後継者がいなくて田んぼの今後を悩まれている方、農業をしたい方など、多様な関心を持つ方々が集まりました。
米作りの基礎知識と水路探検
次に、田主の代表から、米作りの一年間にどんな作業があるのかという全体像を、分かりやすく解説していただきました。

また、地図を使って水路の水の流れを確認し、米作りが「水」をどう守り、どう使うかにかかっていることを改めて学びました。
いよいよお昼の準備として、みんなでかまどに火起こし。
うまく火がついたのを確認した後は、お米が美味しく炊けるのを待つ間を利用して、田主の皆さんの案内のもと、実際に水路を歩いて見学しました。
解説を聞くだけでなく、現場を肌で感じ、水路清掃や草刈りの大変さを実感しました。

炊き上がったばかりの釜炊き新米を味わう
水路見学から帰ってくると、かまどで炊き上がったばかりの釜炊き新米が待っていました!

失敗しないか心配でしたが、見事にふっくら、つやつやに炊き上がり、少しおこげもできていて最高の仕上がりです。
この美味しい新米に合わせ、島くらし淡路の堀内さんお手製の温かい豚汁と、仲野水産さんのお佃煮をはじめとするご飯のおともをたくさん用意しました。
炊きたてのご飯をみんなで一緒にいただく時間は、贅沢で豊かなひとときでした。

食後には、田主の皆さんへの「一問一答」コーナーを設けました。
「正直あと何年続けられますか?」や「後継者に伝えたいことはありますか?」といった、継承問題に深く踏み込んだリアルな質問が飛び出しました。
それに対し、田主の皆さんは熱く答えてくださいました。

一つ一つの返答から、魂と想いを込めて米作りをされていることが伝わってきます。
私たちや参加者のみなさんも、その想いを受け取り、それをどうこの先に繋げていくのか真剣に考える時間となりました。
中には陶芸をやっている方もいらっしゃって、稲わらを使いたいという希望もありました。
もしその稲わらを使ったお茶碗ができたら、ぜひそれでお米をいただきたいね、と盛り上がりました。
今回のイベントを通じて、私たちが普段当たり前に食べている「いただきます」の裏側には、田主の皆さんの努力があることを改めて感じました。
このイベントをきっかけに、お米作りに関わってくれる方が増えたら嬉しい限りです。
私たち島くらし淡路も、今後も田主の皆さんと活動していきたいと改めて思った1日でした。

この記事を書いた人
高木恵美
神奈川県横浜市生まれ。2010年、結婚を機に香川へ移住し、フリーランスでウェブ企画・ディレクションを始める。2011年、自主保育サークルに出会い、運営しながら子どもたちと自然の中で過ごす豊かさを体感。2015年より淡路島に移住し「森のようちえんまんまる」を友人と始める。2019年よりGLASS ONION学習塾の数学講師。教育と環境に関わるお仕事作りに奮闘中!